オーストラリアワーホリからもうすぐ帰国する、もしくは帰国した皆さん、スーパーアニュエーション(年金)の返金申請は進んでいますか?
オーストラリアで働いていた期間中、貯めていたスーパーアニュエーションは、ワーホリビザで働いていた方も返金申請が可能です。
しかし、多くのワーホリ経験者が手続きの複雑さを理由に申請を諦めてしまっているのが現状です。
実際に私は帰国後にスーパーアニュエーション返金申請を行い、無事に受け取ることができました。
この記事では、ワーホリでオーストラリアに滞在していた方向けに、スーパーアニュエーション返金申請の全手順を実体験を交えて詳しく解説します。
申請条件から必要書類、実際の申請手順、そして振込までの期間まで、ワーホリ帰国後のスーパーアニュエーション返金に関する疑問をすべて解決していきましょう。
オーストラリアのスーパーアニュエーション(年金)とは?
働く際に聞いたことのある、スーパーアニュエーション(Superannuation)、よくわからないまま加入したという記憶がある方も少なくないかもしれません。
ここではスーパーアニュエーション返金申請を行う前に、オーストラリアの年金制度について理解しておきましょう。
スーパーアニュエーションは、オーストラリアで働くすべての人が加入する年金制度で、ワーホリビザの方も例外ではありません。
ここでは以下の内容でスーパーアニュエーションとは何かを理解していきましょう。
年金制度「スーパーアニュエーション」の仕組み
オーストラリアの「スーパーアニュエーション」は、日本でいう年金制度のようなものです。
雇用主が従業員の給料とは別に給与の12%分(2025年7月現在)を年金口座に入れてくれて、将来のために積み立てます。
このお金は本人が選んだ年金ファンドで運用され、通常は退職後に受け取ります。
ただし、ワーキングホリデーなど永住権を持たない外国人は、帰国後に手続きをすることでスーパーアニュエーションの返金を受けることが可能です。
ワーホリでも加入義務があるの?
ワーホリビザで働く場合も、オーストラリアのスーパーアニュエーション制度への加入は義務です。
雇用主はオーストラリア人と同じように拠出を行うため、働いた期間があれば必ず積み立てられています。
知らずに放置しがちですが、帰国後に申請して返金を受け取れる大事なお金です。
スーパーアニュエーションの返金・払い戻し申請の条件
スーパーアニュエーション返金を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
特にワーホリビザで滞在していた方は、ビザの状況と申請条件が重要なポイントとなります。
返金・払い戻し申請ができる条件
オーストラリアのスーパーアニュエーション返金申請は、以下の条件を満たした場合に可能です。
主な申請条件
- オーストラリアの永住権を持たない一時滞在者である
- すでにオーストラリアを出国している
- 申請時にビザが失効している(有効なビザを持っていない)
- 将来的にオーストラリアで働く予定がない
ワーホリビザで滞在していた方の場合、帰国後にビザが切れたタイミングで申請できます。
帰国後6ヶ月以上経つと、未請求スーパーとしてATOに移管されてしまい、申請先が変わって手続きが面倒になる場合があります。ですので、ビザが切れたらできるだけ早めの申請をおすすめします。
ビザ失効が必要な理由と注意点
スーパーアニュエーション返金(DASP)は、オーストラリアを「一時滞在者として永久に離れる人」向けの制度です。
そのため、ビザが失効して「オーストラリアで働けない状態」になってからでないと申請できません。
詳しい条件は必ず公式から確認しましょう:DASP申請の条件/Australian Taxation Office
注意すべきポイント
- ワーホリビザの有効期限が切れるまで申請できない
- 他のビザ(例:学生ビザなど)が有効だと申請不可
- ビザが「expired(期限切れ)」または「cancelled(キャンセル)」になっている必要がある
私の場合、帰国とビザ失効のタイミングはほとんど同じだったため最短で返金されるように帰国前後で、必要書類の準備などを早めに行なっていました。
帰国日とビザの失効日がずれる場合は、自分で移民局にキャンセルをリクエストしてビザを失効させる方法もあります。
ただしその場合は別途手続きが必要になるため、通常はビザが自然に切れるタイミングで申請するほうが簡単です。
帰国前にやっておくスーパーアニュエーション返金申請準備
帰国後の返金申請をスムーズに行うためには、オーストラリア滞在中に必要な準備をしておくことが重要です。
特に現地でしかできない手続きや、後から取得が困難な書類については、帰国前に必ず準備しておきましょう。
返金・払い戻し用口座情報の確認
スーパーアニュエーション返金の振込先として、オーストラリアの銀行口座または日本の銀行口座を指定することができます。
オーストラリアの口座を選ぶ場合
- 帰国後も口座維持が必要
- 口座維持手数料がかかる可能性あり
- 日本の口座への送金は自分で手続きが必要
私はANZ Plusを選び、帰国後でも解約がチャットで手数料がかからなかった点が良かったです。
日本の口座を選ぶ場合
- 銀行のSWIFTコードを事前に確認
- 口座名義は英語表記で入力が必要
- 海外送金手数料が差し引かれる可能性
どちらの口座も選べますが、日本の口座の場合は送金手数料と為替レートに注意が必要です。
住所や連絡先の変更
年金基金への住所変更は、帰国前に必ず行っておきましょう。
返金申請に必要な書類が郵送される場合があるため、日本の住所を正確に登録しておくことが重要です。
更新すべき情報
- 住所(日本の住所に変更)
- 電話番号(日本の番号があれば変更)
- メールアドレス(継続して使えるもの)
年金基金の住所変更は、基金のウェブサイトや電話を通じて簡単に手続きできます。
私の場合、年金基金に電話番号は帰国後取得予定と伝え、必要な連絡はメールで行うから、住所とメールだけ更新してほしいと返信がありその通りにしました。
各基金の公式サイトで手順を確認し、必要な情報を更新しましょう。
残高確認と書類の整理
返金申請前に、自分のスーパーアニュエーション残高を正確に把握しておきましょう。
また、申請に必要な書類を事前に整理しておくことで、帰国後の手続きがスムーズになります。
確認と整理すべき書類
- 年金基金からの年次報告書
- 給与明細書(スーパーアニュエーション拠出額の記載があるもの)
- ビザ関連書類
MyGovから、ATOのオンラインサービスでスーパーアニュエーション残高を確認できます。
帰国前に必ず確認し、スクリーンショットを保存しておきましょう。
複数あるスーパーアニュエーション口座の統合
オーストラリアで複数の職場で働いた場合、異なる年金基金に複数の口座を持っている可能性があります。
返金申請を簡素化するため、帰国前に口座を一つにまとめることをお勧めします。
口座統合のメリット
- 申請手続きが一度で済む
- 管理手数料の削減
- 総残高の把握が容易
統合手順
- MyGovアカウントでスーパーアニュエーション口座を確認
- 統合先の年金基金を選択
- オンラインまたは書面で統合申請
- 統合完了の確認
帰国前にやっておくと、情報もやり取りもスムーズに進められるため早めにやっておきましょう。
【体験談】DASPフォームを帰国前に下書き保存
実際に私が行った準備の中で最も役に立ったのが、DASPフォームの事前下書きでした。
下書き保存のメリット
- 帰国後すぐに申請できる
- 必要な情報を現地で確認できる
- 申請時のミスを防げる
下書き時に準備した情報
- 個人情報(氏名、生年月日、現住所)
- パスポート情報
- 年金基金の詳細
- 銀行口座情報
- 雇用履歴
ATOのウェブサイトでDASPフォームに必要な情報を入力し、下書きとして保存しました。
帰国後、ビザが失効したタイミングで、保存した下書きを呼び出して、数分で申請を完了することが可能です。
この準備により、「あの情報何だったっけ?」と慌てることなく、スムーズに申請を進めることができました。
帰国後のスーパーアニュエーション返金申請方法
実際にスーパーアニュエーション返金申請は、郵送とオンラインの2つの方法があります。
しかし、郵送申請は書類の送付に時間がかかり、日本からだと処理も遅くなる傾向があります。
そのため、オンライン申請を強くお勧めします。
オンライン申請なら24時間いつでも手続きでき、処理も迅速で、申請状況も確認できます。
オンライン申請の流れを解説
オーストラリア税務局(ATO)のウェブサイトから、DASPの申請を行います。
オンライン申請の手順
- ATOのウェブサイトにアクセス
- 「Apply for DASP online」を選択
- 個人情報の入力
- パスポート情報の入力
- 年金基金情報の入力
- 銀行口座情報の入力
- 必要書類のアップロード
- 申請内容の確認・送信
申請時に必要な主な情報
- 氏名、生年月日、現住所
- パスポート番号、発行日、有効期限
- 年金基金名、口座番号
- 振込先銀行口座の詳細
- オーストラリア出国日
私の場合、帰国前に下書きを準備していたため、実際の申請は15分程度で完了しました。
オンライン申請なら、入力ミスがあった場合もその場で修正できるのが便利です。
帰国前に下書き保存すると、その後以下のメールがまず届きます。

これはスーパーアニュエーションの返金申請は開始されたけど提出はされていない状態です。
「ビザが失効したら、ここからアクセスして提出してね」ということが書かれています。
【体験談】自動メール通知から申請完了までの流れ
オンライン申請を送信すると、ATOから自動的に確認メールが送信されます。
このメールから申請が完了、これから約28日で指定された銀行口座へ入金されるということが案内されます。

スーパーアニュエーションが返金される金額と振込までの期間
スーパーアニュエーション返金では、拠出された全額が返金されるわけではありません。
税金や手数料が差し引かれた金額が実際の受取額となります。
また、返金額によっては追加の手続きが必要になる場合もあります。
返金・払い戻し時の税率と私の返金受取額の実例
ワーキングホリデービザ(ワーホリビザ)保持者がオーストラリアのスーパーアニュエーション返金を申請する際の税率は65%です。
「スーパーアニュエーションの全額が返金されるわけではない」ことを理解しておきましょう。
私の実際の受取額計算例
- 拠出額(スーパーアニュエーション残高):5,688ドル
- 税金(65%):3,697ドル
- 実際の受取額:1,991ドル
実際に私がスーパーアニュエーション返金を申請したときは、5,688ドルのうち1,991ドルを受け取れました。
返金額は想定より少なくなるので、ワーホリの帰国前に計算しておくのがおすすめです。
(参照: DASP for temporary residents/Australian Taxation Office (ATO))
【体験談】5,000ドル以上の場合の追加書類提出
申請から返金を受け取るまで、すべてがスムーズだったわけではなく、私の場合は1点見落としていた部分がありました。
私のスーパーアニュエーションの残高が5,000ドルを超えていたため、以下のような追加書類の提出を求めるメールが届きました。

【要求された追加書類】
- 振り込み銀行取引明細書
- 現在のパスポートの鮮明な写真
- 顔全体とパスポートの詳細を一緒に写った鮮明な写真
- 記入・署名済みのDASP申請書
【私が実際にやった追加書類提出の流れ】
- 申請から7日後に追加書類要求メール受信
- 必要書類をメールに添付して返信
- 再提出後から約1週間後に承認され、返金が振り込まれる
【追加書類の注意点】
私の場合は「メールで返信するように」と案内がありましたが、個人情報を含むため、ファイルをまとめてパスワードを設定して送信してくださいと指示がありました。
提出方法や指示内容は各年金基金によって異なる場合があるので、必ず自分宛に届いた案内をよく確認して従いましょう。
実際に返金までにかかった期間
スーパーアニュエーションが実際に返金された処理期間は以下の通りです。
追加書類の提出などもありましたが、想像よりも早い印象でした。
私のケース(5,000ドル以上)
- 申請日:2024年11月20日
- 追加書類提出:12月5日
- 承認通知:12月11日
- 振込完了:12月11日
- 合計期間:21日間
処理期間に影響する要因
- 申請内容の複雑さ
- 提出書類の完備状況
- 返金額の大きさ
- ATOの処理状況
基本的には特段申請内容に不備がなければ、迅速に対応してくださる印象です。
郵送申請の場合は、これよりも2-3週間長くかかることが多いようです。
スーパーアニュエーション返金・払い戻しのよくある質問
スーパーアニュエーション返金申請について、多くの方が疑問に思うポイントをまとめました。
申請前に確認しておくことで、スムーズな手続きが可能になります。
いつ申請すればいい?
オーストラリアを出国後にビザ失効を確認してから申請可能ですが、オンラインでは出国前に「DASPを申請作成だけ」しておくのが推奨されています。
スーパーアニュエーションの申請期限はある?
返金申請に法的な期限はありませんが、多くの年金基金では、出国から6か月以内の申請を推奨しています。
6か月を過ぎると、未申請の残高はATO(オーストラリア税務局)に「未請求年金」として移管される可能性があります。
移管後でも申請して受け取ることは可能ですが、基金に残っていた場合より運用益がつかないなどのデメリットがあるので、できるだけ早めに手続きするのがおすすめです。
どの口座を指定できる?
オーストラリア国内口座か、日本など海外の銀行口座を選択可能です。
ただし海外送金は別途手続きや手数料がさらに必要になる場合があります。
いつ振り込まれる?
通常、申請を受理してから28営業日以内に支払われます。
不備や追加書類を要する場合はさらに時間がかかることがあります。
※手続きや必要書類、税率などは変更される場合があります。
必ず最新の情報はATO公式サイトや各年金基金の公式情報を確認してください
スーパーアニュエーション返金は意外と簡単!実体験からわかったこと
ここまでスーパーアニュエーション返金申請について詳しく解説してきましたが、実際に手続きを行ってみると、思っていたよりもずっと簡単でした。
多くのワーホリ経験者が「手続きが複雑そう」「英語が不安」「どこから始めればいいかわからない」という理由で申請を諦めがちですが、実際にはオンライン申請システムが非常に分かりやすく設計されており、必要な書類も事前に準備していれば問題ありません。
私の場合、事前準備に少し時間をかけたおかげで、実際の申請自体は15分程度で完了し、返金を受け取ることができました。
オーストラリアで働いた期間がある方は、必ずスーパーアニュエーション口座に資金が積み立てられています。
この資金を受け取らずに放置するのは、本当にもったいないことです。
帰国後の新しいスタートに向けて、ぜひスーパーアニュエーション返金申請にチャレンジしてください。
最後に、返金申請に必要な条件や書類、税率などは変更になることがあります。
公式サイトを確認しながら、しっかり準備を進めてください。
あなたの貴重な資金を忘れずに受け取りましょう!
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